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日本各地のモノづくりの現場を訪ね、
現地で学び、感じる「産業観光」旅行。

「産業観光」とは、歴史的・文化的価値のある古い機械器具、工場遺構や現場である工場などを訪ねて、モノづくりの心に触れ、学び、体験する新しい観光です。 ニッポンブランド・マイスター講座では、マイスター本科を修了された方に産業観光型NBM講座をご案内しています。

産業観光型NBM講座とは

■ 産業観光とは?
今、全国各地で「産業観光」が注目されています。
「産業観光」とは、歴史的・文化的価値のある古い機械器具、工場遺構や現場である工場などを訪ねて、モノづくりの心に触れ、学び、体験する新しい観光です。
■ ニッポンブランド・マイスター講座の産業観光
実際に日本のモノづくりに様々な形で携わり、日本のモノづくりの現状を知るメイド・イン・ジャパン・プロジェクト株式会社(MIJP) の監修のもと、伝統産業にとどまらず、“今のモノづくり”を見ていきます。
現場に触れた皆様の声はMIJPが現場にお届けしますので、地域のモノづくりに活かされます。
■ 2016年度は福岡県を訪問しました
古くから中国や朝鮮、東南アジアなどとの交流が深かった福岡県だからこそ生まれた文化や工芸品があります。福岡にある経済産業大臣指定伝統的工芸品7品目に様々な形で触れる、充実した一泊二日の産業観光旅行です。
■ 2011年度は岡山県を訪問しました
地域に根付いた特色ある岡山県の産業は、日本に、そして世界に誇る事ができるもの。 備前焼を中心に食や匠とのふれあいで、くらしを豊かに彩るヒントを見つけにいきましょう。 NBM講座監修、本科講師を努めていただいている美術評論家の外舘和子氏とめぐります。
■ 2010年度は岐阜県を訪問しました
岐阜県では、全国的に有名な「刃物」「和紙」「陶磁器」「木工」などの産業が、古より育まれ、現在では、先端産業も盛んです。 豊かな自然と匠の技に支えられた岐阜県の産業は、日本に、そして世界に誇ることができるのです。

これまで開催された産業観光型NBM講座

ライターの田中敦子さんがメッセージを寄せて下さいました

旅心も、好奇心も、モノづくりへの思いも満たしてくれる、一泊二日の「産業観光」旅行。
書物や映像からはでは決して感じ得ない、土地とモノの密接な関係が、
じわじわと肌身にしみてくる。NBMだから実現できる、貴重な旅へのいざない。

土が育んだ光を通して

 飛騨高山にゆきませんか?
 「産業観光」しましょう

 個人旅行のときには、必ず地場産業のなにかしらを見ようと旅程に押し込む。最近では、そうしたものがあるところじゃないとつまらない、とばかりに、観光地ではないところをメインにしてしまうことも。とはいえ、日本だけでなく世界各国、どこにだってモノづくりがあり、避けて通るほうが難しいくらい。だから、ずいぶんと巡ってきた気でいたけれど、仕事モードを完璧にスイッチオフにしてしまう個人旅行は、あくまで物見遊山。ゆるん、と表面だけ見て、面白かったあ、で終わってしまう。
  その一方、取材であちらこちらに行くことも多い。ただ、仕事となると、逆に旅する心のゆとりがおいてけぼりになっている。なるべく土地の空気を呼吸して、全身で感じようとしても、記事にまとめるという目的を全うしなければいけないから、体がゆるんとしない。取材だからこそ入り込める部分まで見ても、その周辺を感じ取る感覚が固まってしまいがちで、物足りなさを拭いきれない。

 この中間の感じで地場産業などを見て回りたいなあ、と、このところ切に思っていたものだから、NBMからの「産業観光」のお誘いには、実は心の中で大はしゃぎ。旅心も、好奇心も、モノづくりへの思いも満たしてくれそうな一泊二日。和蝋燭、酒蔵、木工家具、飛騨春慶塗、渋草焼・・・。それに、日本のモノづくりを愛する人たちとの旅だ。きっと盛り上がるにちがいない。訪問先に心を馳せながら、何度も何度も旅程表に目を通したのだった。

 そして、旅を終え、今度はその記憶を何度も何度も反芻している。
  見事だったなあと思うのは、ものづくりを見るためのお膳立てだ。ほんと、この旅は、食事どころまでぬかりなかったのだ。
  飛騨古川では、食通でも知られる作家・池波正太郎が通った〝蕪水亭〟。荒城川と宮川が合流する地にある風光明媚な宿での昼食。飛騨高山では、長い歴史をもつ料亭〝洲さき〟での晩餐で、宗和流本膳くずしというこの土地ならではのもてなしの形に触れた。個人旅行であれば、ちょっと敷居が高くて二の足を踏む名店を敢えて選び、土地の食材の豊かさやもてなしの文化を味わうのみならず、飛騨春慶塗や渋草焼の器にじかに触れる場を用意してくださっていた。手に触れ、愛で、楽しんで、肌で感じた後に、実際の現場を見る、という流れに乗って、私たちは、より深く、土地とモノの関係性を理解できたように思う。
  でも。
  長い歴史がはぐくんできた文化や産業、たった一回の訪問で分かった気になってはいけないと肝に銘ずる。技の切磋琢磨や、悲喜こもごもの歴史など、なんやかやがあって今があるのだ。まずは、自分がなにもわかっていなかったなあ、ということを知るだけでいい。いちばん怖いのは、わかった気になって、こんなもんね、と思うこと。それじゃあ、物ごとの本質は、まるで見えてこない。この産業観光の旅はきっかけにすぎない。それでも、訪ねることで、土地の匂いや歴史を感じ、モノづくりに従事する人たちの技や心を刻み込むことは確実にできる。その経験が、生きた言葉を生み出して、伝える力になる。
  観光という言葉の語源が、ふと気になった。どうやら中国の古典である『易経』から引用された翻訳語らしく、〝観国之光〟という一節から生まれたとか。
  国の光を観る。
  光とは、歴史、伝統、風光、文化などのこと。ああ、まさに。
  私たちは、今回の『産業観光』で、土地の光を感じ、土地の光を通して、モノづくりを垣間見た。この経験を重ねていくことで、もっともっと日本という国を深く知り、愛し、そして、変えていくパワーへと転換していけるような気がする。
  始まったばかりの旅の形は、大きな可能性に満ちている。

田中敦子http://www.kt.rim.or.jp/~ktanaka/
1961年東京生まれ。‘84年、早稲田大学第一文学部卒。’86年主婦の友社入社、雑誌編集部勤務ののち1996年退社、フリーランスに。工芸、染織、きものを中心に、取材、執筆、編集をおこなう。雑誌「和樂」(小学館)の創刊、編集に参画。また「七緒」(プレジデント社)の編集および監修を担当。著書に『江戸の手わざ ちゃんとした人ちゃんとしたもの』(文化出版局)、『きものの花咲くころ』(主婦の友社)他。現在、JR東海、山陽新幹線車内誌『ひととき』にて「粋を継ぐわざ」、プレジデント社『七緒』にて「奔放着物クロニクル」を連載中。昨今は、手仕事展のプロデュースも手がける。メイド・イン・ジャパン・プロジェクト発行のフリーパーパー「NIPPONと暮らす」の選定、取材、執筆も手がけている。
田中敦子さんの「NIPPONと暮らす」取材記事はこちら