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第2回 産業観光型NBM講座 「美濃焼をめぐる、うつわの旅」概要 (本講座は終了しています)

2010年9月18日(土)・19日(日)に産業観光型NBM 講座「美濃焼をめぐる、うつわの旅」を開催いたしました。
以下から開催概要をご覧いただけます。


現在募集中の産業観光型NBM 講座はこちらから

産業観光型NBM講座「美濃焼をめぐる、うつわの旅」 レポート

平成22年9月18日(土)・19日(日)の2日間、陶磁器の全国60%の生産シェアを誇る岐阜県は美濃焼の産地に訪問させていただきました。

【1日目:10月18日(土)】
10:00 まずは岐阜県瑞浪市 JR中央本線 瑞浪駅にて現地集合。


外舘和子先生バス車内でのレクチャー風景。

バスに乗っていざ工場見学へ。
今回は、NBM講座の監修もしていただいており、特に“うつわ”を専門分野とする講師の外舘和子氏に同行していただき、レクチャーを受けながら産地をめぐりました。

最初に見学させていただいたのは、瑞浪市にある小田陶器株式会社さんの工場。


日本の高度経済成長とともに大量生産の礎を築いてきた工場です。
とにかく広いです。


社員の方に工場内をご案内していただきました。


小田陶器(株) 尾石氏。

工場内は陶磁器ができるまでの工程のほとんどが機械により自動化されていました。

ロクロでの成形も、絵付けも、焼成も全てが機械。大きな機械が立ち並び、一気に稼動している様子は大迫力です。そして、なんとトンネル窯の全長は86mもあるそうです。窯内の温度は1,350℃。24時間稼働し続け、焼きあがるまでに約2日間かかるそうです。今回の見学中、ちょうどタイミング良く焼き上がった品が自動で出てきました。

しかし、これだけ自動化が進んでいる中でも、土の調合や釉薬かけ、検品といった大事な作業はやはり熟練の職人さんの成せる技。こうして、大量生産でありながらも高品質な焼物がつくられているのですね。見学の後は、陶磁器の歴史や、その生産スタイルの推移等について、小田陶器(株)児玉谷氏に伺いました。


最後に、ショールームを見せていただき、次の工場へ。

バスで移動中、たまたま火入れをしている登り窯に出会いました。

窯の前では昼間からお酒を飲んで宴が行われていました。
楽しそうですが、三日くらい寝ずに火を入れ続けないといけないそうです。


登り窯に火入れをするのは年に数回。
この幸運な出会いに感謝して、窯の前で


みなさんと一緒に記念撮影。

次の工場へ行く前に、昼食タイム。
場所は瑞浪市から移り、土岐市下石町。手打うどんの郁兵衛さんにて。


ご当地名物の“ころうどん”をいただきました。もちろんうつわは美濃焼です。


“ころうどん”の“ころ”は、漢字で書くと“香露”。
ころうどんとは、香り高い露でいただく冷やしうどんのことをいいます。


お店の雰囲気は、田舎のおばあちゃん家に遊びに行った感じでとてもアットホーム。そんな雰囲気に和まされながらおいしくいただきました。最後にアンケートを書くと、お土産に好きな美濃焼を一ついただくことができました。


次に見学させていただいたのは、土岐市駄知町にある井野広利さんの工場。

こちらの工場では、圧力鋳込みを専門に行っています。
つまり、型に土を流し込んで乾燥させるまでがお仕事です。焼くのはまた別の工場で行われます。
大量生産地ならではの知恵、分業の文化が今も変わらず続いています。

とても小さな工場で、ご夫婦二人だけでお仕事をされていました。


工場の中にも外にも、圧力鋳込みによって量産されたうつわたちがずらりと並んでいました。

続いてお邪魔させていただいたのが、同じく土岐市駄知町にあるカネ定製陶株式会社。
今回の旅のガイドさんとしてもお世話になりました、NBM2期生の籠橋さんの会社です。

休業日ということで工場内の見学はできませんでしたが、こちらから駄知のまち並みを一望できるということで立ち寄らせていただきました。


こちらでも、みんなで記念撮影。


駄知の町並みを見下ろすと大きなトタン屋根の工場がたくさんあります。


駄知だけでも、型屋が8件、窯元は50件もあると聞いて驚きました。

美濃焼の産地は、土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市と広範囲にまたがりますが、土岐市の一部でその規模です。いかに産地として巨大かが伺えます。有田などの他産地の生地もここで作って運ばれていたりするそうです。美濃焼は国産の陶器のシェア60%。その大量生産によって、安くて品質の良いものを私たちの暮らしに供給してきました。
そういうわけで、今は、なんでもできるが故に美濃焼のアイデンティティが薄いのが悩みのようです。

続きまして、こちらも駄知にあります型屋さんの株式会社三鈴製型所へ。先ほどのような、圧力鋳込みをするための型がこちらの工場でつくられています。

型をつくるのにも型が必要です。


私たちの目の前で、型のための型となるモデルの実演をしていただけました。


ろくろに載せて棒を壁に当てて刃物で削っていきます。


その微調整は、まさに職人技です。


外には型がずらり。
先ほどお邪魔させていただいたカネ定製陶(株)さん用のものもありますね。


倉庫にもびっしり型が保管されていました。

一つの型は約500回ほど繰り返し使うことができますが、使わなくなった型や、型の型は、産業廃棄物となってしまうそう。これらの型を何か有効利用する方法がないものかと皆さんで意見を交わし合いました。

次は、窯元もさらながら作家としても高名な酒井先生の工房、好山陶苑へ。三鈴製型所さんから歩いて移動しました。


こちらには、かなりの高温で焼くことのできる大きなガス窯があり、丈夫な陶磁器をつくることができます。


そしてこちらが工場と併設されている酒井先生のアトリエです。


酒井先生の作品です。

原料探しから始まり、何度も研究・試作を繰り返したのち、ひとつの作品が出来上がります。本当に美しい。のちに、多治見の様々な場所でこれらの作品を目撃することになります。

最後に、同じく駄知にあります釉薬屋さん、カネアツ釉薬さんへ。


伊藤社長には、とてもわかりやすく説明して頂きました。

こちらのカラーサンプルはタジン鍋の色合わせ用。50パターンあり、微妙な色の違いが表現されています。

夕食はオリベストリートにある澤千さんです。


お手洗いの洗面台もやはり美濃焼。

女将さんからひとことご挨拶をいただいた後、お待ちかねの食事。

美濃焼の美しいうつわに品良く盛り付けられたお料理。


どれもおいしく、とても素敵なお店でした。

 

【2日目:9月19日(日)】
2日目の最初に訪問させていただいたのは、「幸兵衛窯」。


場所は多治見市市之倉町。
二百年の歴史を誇る徳川幕府御用達の指定を受ける格式高い窯元さんです。

人間国宝の加藤卓男氏のお孫さんである8代目にあたる亮太郎氏にレクチャーを受けました。

福井から築250年の民家を移築したという建物は、とても見応えのある吹き抜けの大空間が広がっています。
建築好きにも十分楽しめます。


お庭にはあな窯があります。


お店も付属していて商品を購入することもできます。


こちらは人間国宝の加藤卓男氏の仕事場を再現した展示。


こちらでも恒例の記念撮影。屋根の裏から窯の煙突がのぞいています。

次に訪れたのは、岐阜県陶磁器資料館。
学芸員の方にご案内していただき、貴重な作品を拝見しながら美濃焼の歴史を学びました。


所変わって、岐阜県現代陶芸美術館(セラミックパーク美濃)。


回廊の天井には、様々な陶磁器のかけらが埋め込まれていました。
こちらの建物は、建築家の磯崎新氏の設計。


こちらにある茶室を借り切って、学芸員の方と外舘先生によるレクチャーを受けました。


レクチャーの後は、松正さんのお弁当で昼食。主食は五平餅でした。

食事の後は、人間国宝の窯元で作っているという箸置きをいただきました。
その後、副館長さんの解説つきでハンス・コパー展を見てまわりました。


そしてオリベストリートに戻り、旅の締めくくり。

日本で最大の焼物の産地、岐阜県美濃の地で、陶磁器の素晴らしい伝統技術を、そして地場の産地力を、肌で感じることのできた2日間でした。

最後になりましたが、ご参加いただいた皆様、我々の訪問を快く受け入れてくださった地元企業、店舗の皆様、各方面でご尽力いただいた岐阜県の職員の皆様に心から御礼申し上げます。

ありがとうございました。