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マイスター本科第19期第7回「日本の生活デザイン」講座を開催しました

【本科 日本の生活デザイン】
集約された意味の中に
かたちが生まれる

ニッポンブランド・マイスター講座本科第19期として、第7回講座となる「日本の生活デザイン」を開講しました。講師は、デザイナーの村澤一晃先生。国内外問わず可能な限り現地に足を運んで、様々なメーカーと関係を育てながら、それぞれの魅力を引き出すデザインを生み出してきた先生です。

「そもそもデザインって何だろう?」。講座は、こんなシンプルな問いかけからスタート。例えば、将来に向けて行動指針を作ることを「ライフデザイン」と呼ぶように、時代とともにデザインは「意匠」や「図案」といった範囲を飛び越え、無形のデザインが暮らしの中に溶け込んでいます。デザインの定義は実に曖昧なのです。本講座では、村澤先生の透徹した論理と平易な語り口をもって、デザインへの理解を深めることができます。

20160602_02一昔前には一家団欒の象徴であった「ちゃぶ台」。あの丸いかたちが生まれた背景を想像する――受講生がゴールにたどり着くまでを自然な形で村澤先生がリードしていきます。「狭い日本の家屋では角のあるテーブルは危険」。「鍋料理や大皿など共用の食器を中心に置いたとき、どの場所からも手の伸びる距離が同じ」。受講生のどの発言も正解とした上で、先生が考察を加えます。「ちゃぶ台という家具の特徴は折り畳めること。それをコロコロと転がして、隙間などに収納できる。だから、円形である必要があった」。また、「過去を遡ると、日本人の食卓の基本は銘々膳で、封建制度が終わってからも家父長制として、部屋のどの位置で食事をするかで身分差を表していた。ちゃぶ台の円形は戦後民主主義を象徴するかたちといえるのではないか」。このように、順を追って具体的に、集約された意味の中にかたちが生まれることが示されていきます。

講座の後半は、森林大国日本の国産樹木を題材にワークショップを体験。下の写真を見て、皆さんは、同じ木から作られたサイコロがどれか分かりますか? 樹種の答え合わせができるよう、サイコロを裏返すと、それぞれのモチーフの焼印があります。ミズナラ・クリ・トチ・オニグルミ・ブナ・ヤマザクラ・カラマツ・ウワミズザクラ……。世界第2位の森林率を誇りながら、世界で3番目に丸太を輸入している日本の矛盾に気づき、木に対する親しみや理解を深めることは、私たち一人ひとりの責務であるといえるかもしれません。

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