デザインに携わる者としてモノを深く見つめる
新しい表現への挑戦
マーケティングプランナー・デザイナー 朝重貴允さん 16期
「伝統と文化、歴史を知り、自己を深め、オリジナルを生み出す」私自身の昔からの仕事に対するスタンスです。私はデザイン業に従事しており、グラフィックから空間演出、総合プロデュース業まで幅広く従事しております。幼い頃より陶磁器の産地で生活し、陶磁器に囲まれて育ち、現在においても、陶磁器と関わる仕事は少なくありません。
ある日、陶磁器と他の日本の伝統産業との異業種交流の仕事を頂き、ふと、思うことがありました。陶磁器以外の日本の伝統産業について、「なんとなく」の知識しか備えがなかったということです。その時は、当該産地の専門の方の意見も交え、「異業種コラボ」という体裁では無事成功し終えることができましたが、やはり、あの時こういう提案ができていればと、後悔することもありました。そのことが、今回のNBM講座を受講した大きなきっかけです。また、外でも他の産地の方々とお話しする機会も多く、そこから仕事に結び付いていくこともありますので、対話力においてもさらに弾みをつけたいという思いもありました。
まだ講座も折り返し地点ではありますが、一つ一つの講座を経て、明らかにモノを観る目が変わったと感じています。モノの表面上の良さだけでなく、その伝統や文化、製品として世に送り出されるまでの過程、すなわち、背景を知ることにより、良いモノをさらに深く見る能力が養われたことは、人として本当に大きな収穫であったと思います。また、各産業のプロフェッショナルな方が実際にモノを交え、受講者がイメージしやすい講座内容であることが私にピッタリと当てはまりました。学べば学ぶほど興味と探究心に溢れ、講座を終えた後日、仕事の合間に実際に現地に足を運ぶまでになりました。
私は今回、九州から参加させて頂いておりますが、私と同様、地方からの参加者の方も多く、それだけ魅力的な講座であることが分かります。受講者の皆さんも一人ひとり様々な業種でかつ、個性的な方ばかりで、皆さんのお話を肴に一晩中おいしいお酒が飲めるだろうなと思うほどです。そういった方々と一緒に学べることもNBM講座の大きな魅力だと私は思います。近年、交通手段も著しく利便化し、それに伴い学べる環境も多様化しました。日本を代表する伝統産業の産地は全国各地にありますので、まだ未受講の方も、身近にある素晴らしいモノから講座受講へのきっかけとなればと思います。
職業柄、伝統・文化・歴史に多くのアイデアとヒントを見出し、それをデザインの要素に取り入れることは多々あります。今後は新たな視点で、違った切り口を表現できると実感し、ワクワクしています。全講座修了後の新たなフィルターを通して見るモノ、人、産地は、私自身にとって大きな財産となると同時に、日本の伝統・文化・歴史を「なんとなく」から「なんなく」発信していけると確信しています。現在では日本の伝統産業が広く世界にPRできる機会が多々あり、私自身もデザイン業を通じて、その一翼を担うことができればと思っています。
最後に、このNMB講座が生涯を通して未完成である自分を完成に近づけていく、一つの大きな過程となったことを非常に嬉しく思っています。