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ものづくりへの真摯な姿勢
日本人としての誇りを次世代に伝えていく
静岡デザイン専門学校教員 本野智美さん(6期生)

ゼミの学生達と学校にて
グラフィック・デザイナーの仕事の世界も広がりました
「NBM特別講座・モノづくり塾
~椀を仕立てる」の南木曽にて
「NBM特別講座・モノづくり塾
~椀を仕立てる」で仕立てたお椀
お椀に名入れをしました
お椀のデザイン画

「日本になんて興味ない」20代の頃、ある集まりで何気に発した私のコトバに、その場に居合わせたクリエイターの先輩が返してきたコトバ、「日本のこと、何にも知らないくせに」。むこうみずな若さだけが取り柄の当時の私は、なんだそりゃと流しただけでした。
あれから幾つも年を重ね、日々の生活の中で自分が何者なのかを深く考えるようになりました。ふと浮かぶ先輩のコトバ…今なら、今だからこそ、その意味がよくわかる…

そんな中、NBMの母体である、日本の心をもったモノづくりを世の中に広げるための活動をなさっている「メイド・イン・ジャパン・プロジェクト」を通して、「ニッポンブランド・マイスター講座」を知る機会に恵まれました。ひとつの分野に特化した講座が数多い中、多岐にわたる様々な分野の専門知識が第一線の講師陣によって多角的に学べる、こんなに魅力的なことはありません。
実際に第6期生として講座を受けて、どのお話しにも共通していた想いは、“モノづくりの向こうには必ず人がいる”ということでした。モノのカタチの善し悪しの知識だけにとらわれず、モノの向こうにある歴史と環境と人を感じることで、日本の心根を守りたくなり、また誇りも生まれました。

知識だけでなく、もっと現場と人を知りたいと思い、「NBM特別講座・モノづくり塾~椀を仕立てる」にも参加しました。漆の座学から始まり、生まれて初めてのお椀のデザイン。長野県の南木曽でデザインしたお椀が木地師の手によりくり抜かれカタチになっていく様や、福井県の鯖江では漆塗りの現場で名入れまでさせていただきました。
手を動かし、産地まで足を運び、現場を自分の目で見る。モノづくりの工程を一から知ることで、そこに関わる人の真剣さ、あたたかさも知ることができました。
多くの人の手を経てできあがったお椀は、かけがえのない宝物になりました。

私の職業はグラフィックデザインで、今は静岡デザイン専門学校での教員の活動が主です。伝統工芸やモノづくりには直接関係のない職種ですが、日本の真摯なモノづくりの世界を知ることで、日本人としての生き方を学ばせていただいたと思っています。
NBM講座での体験を学生たちに話すと、本物の日本に目を輝かせて興味を示します。いまのコは…なんていわれていますが、日本で生まれ日本で育っている日本人として、ちゃんと日本のカケラに反応する様子をみて、捨てたもんじゃないと安心します。
20代の頃、先輩にいわれたひとことが後の人生の起点となったように、殺伐とした時代に生きるこのコたちにも、日本人としての誇りと好奇心を失わない積極性を少しでも伝えていけたら…そんな思いで教壇にたつ日々です。

これからもNBM講座から派生する様々な催しに期待しています。ありがとうございました。



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